大動脈弁狭窄症だいどうみゃくべんきょうさくしょう」とはどんな病気?

心臓を構成する4つの部屋のうち、全身に血液を送り出す左心室の出口にあるのが「大動脈弁」です。


大動脈弁狭窄症の写真
大動脈弁尖に高度石灰化を認める

大動脈弁は、一度全身に送り出した血液が心臓側に逆流しないようにする扉の役割を担っています。
この扉が固くなり開きにくくなってしまう状態を「大動脈弁狭窄症」と言います。
この状態になると、心臓が全身に血液を送り出すのに通常よりも大きなエネルギーを要するようになってしまい、少し身体を動かしただけでも動悸や息切れがするようになります。


正常な大動脈弁

狭窄症の大動脈弁

正常な大動脈弁(拡大版)

狭窄症の大動脈弁(拡大版)

映像提供:エドワーズライフサイエンス

症状とリスク

大動脈弁狭窄症が進行すると胸が痛くなる、突然意識を失う、動悸や息切れがするなどの症状があらわれます。
主な原因として加齢が挙げられますので、年齢を重ねるにつれ徐々に病状が進んでいきます。
一般的には胸が痛くなると予後5年、意識を失う症状があらわれると予後3年、動悸や息切れがあらわれると予後2年と言われています。
残念ながら薬で治すことはできず、手術以外の有効な治療法はありません。
息切れがするようになっても「もう歳だから・・・」と加齢による自然現象と思われている方がたくさんいらっしゃいますが、中にはこの病気が原因の方がいます。
この場合は手術をすれば劇的に症状が改善する可能性があります。

検査・診断方法

大動脈弁狭窄症を見つける方法としてまず手がかりになるものは聴診です。
かかりつけ医の聴診で心雑音を指摘された場合は、専門医の診察を受けましょう。
確定診断に必要な検査は心臓超音波検査(心エコー)です。
この超音波の検査でどれくらい大動脈弁がうまく動いていないか確認することができます。
また心臓の機能がどれくらい悪くなっているかも確認することができます。
この超音波の検査で重症と診断された方は手術を推奨されます。

大動脈弁狭窄症の心エコー所見


硬化した大動脈弁を横から見た画像

硬化した大動脈弁を正面から見た画像